「数字譜」のおはなし

②五線譜が読めなくても弾ける

「五線譜」ではなく「数字譜」
大正琴は操作がカンタンなだけでなく、五線譜が読めなくても弾ける仕掛けがあります。それが「数字譜」です。数字譜は数字を使って書かれた楽譜で、楽譜の数字を見ながら、大正琴の音階ボタンの数字を順に押さえていけば、メロディーを演奏することができます。
五線譜がスラスラ読めるようになるには相当なトレーニングが必要で、これが楽器演奏のハードルになってしまうのですが、大正琴の場合はその必要がないのです。

もちろん、五線譜でも弾ける
大正琴は和洋折衷楽器ですから、ピアノが弾ける人は五線譜を見て弾くこともできます。
これは音階ボタン(鍵盤)の配列がピアノと同じだからです。

和楽器の楽譜でも弾ける?
一方、三味線の「文化譜」や三線の「工工四」も数字譜に変換しやすいことから、
三味線や三線が弾ける人も、練習すれば脳内変換して弾けるかもしれません。
篠笛譜はもっと簡単に弾けると思います。

数字譜のメリット
数字譜のメリットは次のようなものです。
・五線がなくてもすぐ書ける
・コンパクトに収まる
服部良一が「青い山脈」のメロディーを列車の中で思いついて、それを忘れないうちに数字譜でメモしたという逸話があります。その場でメモできたのは数字譜のメリットのおかげなのです。
また、私はライブ配信の企画で「耳コピ選手権」の参加したことがあるのですが、この時も数字譜のメリットを感じました。音を聴きながら大正琴で拾って、そのまま数字譜にできたので、耳コピに有利でした。結果は準優勝でしたが、優勝者は楽譜なしで演奏可能なオタマトーンでした。

究極に簡単な楽譜とは?
楽譜を初心者向けに、究極に分かりやすくしようとすると、数字譜のような表記法に収斂されてくるのかもしれません。
2023年、ピアニストのハラミちゃんが、五線譜が読めない人でも弾ける楽譜を出版されました。ドレミの階名と指による楽譜です。大正琴の数字譜に似ていると感じませんか?
ハラミちゃんのレパートリーが初心者でも弾ける魔法のピアノ曲集

色彩譜はどうでしょう?
大正琴の数字譜も、もっと分かりやすくする余地があると思います。
スウェーデンのステン・ブンネ氏が提唱する「ブンネ・メソッド」では、音階に色付けされて、視覚的に分かる楽譜が考案されています。
私は、大正琴にもこれを取り入れ、数字譜と音階ボタンに色をつけたら良いのではないかと考えています。

数字譜の覚え方
数字譜は、ドレミが123と表記されます。
覚えられないという方は、
松野先生の「大正琴ドレミの歌」を視聴すれば、頭に焼き付くと思います。

数字譜のデメリット
一方、数字譜のデメリットとしては、
・和音が表現しづらい(上下段表記になる)
・調性がわかりにくい
といったことが挙げられます。
曲の調(スケール)は、五線譜であれば調号を見れば分かりますが、数字譜には調号がありません。また、ド#もレ♭も「1#」として表記されるので、音楽理論をちゃんと勉強したい人には不向きかもしれません。

数字譜の最大の弱点とは?
数字譜は、音の「高さ」は一目瞭然ですが、音の「長さ」が分かりにくいという弱点があります。知っている曲やカンタンな曲では、それほど問題になりませんが、シンコペーションが多いとか、譜割が複雑な曲になると、数字譜の読解に苦労する場合もあります。

五線譜との折衷案
下線の表記は慣れればそれほど難しくありませんが、学校の音楽等で五線譜の方が見慣れているという方は、五線譜の音符で音の長さ(音価)を表す方式の方が分かりやすいかもしれません。
五線譜の音符で音の長さを表す方法 vs 普通の五線譜
分かりやすいのはどっち❓

五線譜に移行した方が良い?
大正琴関係者の中でも、本格的に取り組むなら数字譜ではなく五線譜を使った方がよいという意見は存在します。吉岡錦正先生や泉田由美子先生は、五線譜が読めるようになることを推奨しています。
たしかに、音楽をより深く理解するためには、五線譜が読めた方が有利だと思います。数字譜のデメリットの所で書きましたが、曲の調(スケール)は、五線譜なら調号を見れば分かりやすいですが、数字譜だと分かりにくいです。
大正琴と数字譜の記事

大正琴と数字譜(とか)のおはなし|ハリマヤイチゾウ
大正琴の楽譜にはいまでも一般的には0・1・2…といった数字で表す数字譜が用いられるようです。 この数字譜は文字譜の一種で大正琴専用の楽譜という訳ではなく、日本でも一時期はかなり普及していた楽譜でした。それを大正琴が採用した、それが当時自然だ...

五線譜に移行するための“アイデア大正琴”
数字譜から五線譜に移行する時に役に立ちそうな大正琴を発見しました。
吉岡錦正先生が監修された大正琴「錦」は、天板に五線譜があり、音階ボタンに対応する音を表記しています。

数字がメロディーを表すなら…
私は以前、電話番号を大正琴で弾いてみたという動画をTiktokに投稿しました。
すると琴修会のけんばん先生が、円周率を基にした曲があることを教えてくださいました。
円周率をもとに作曲されたのが『悠久の途』🎵
琴修会の演奏会ではフィナーレに弾かれます。

また、YouTubeには円周率を12進数に変換して、12音に割り振った試みがありました。

大正琴と数字譜は切っても切れない関係
数字が書かれた音階ボタンは大正琴の象徴的な存在ですね。この数字は、大正琴が発明された時からありましたが、数字譜の方は数年経ってから整備されました。そして、大正時代の大正琴ブームが盛り上がっていくことになります。
大正琴と数字譜の相性の良さは今でも変わりませんが、数字譜は現代人にとっては馴染みのない楽譜になってしまいました。そのため最初はとっつきにくい部分もあるかも知れません。
逆に、大正琴TikTokerだった大正琴ひらりさんがやったように、ショート動画に「この数字が何か分かりますか」と数字譜を表示してその曲を演奏するというアイデアもあります。
いずれにしても、大正琴の大きな特徴である「数字」を魅力的に発信できれば、大きな武器になると考えられます。

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