あなたはどっち派? 生音 vs エレキ
大正琴の音色はアコースティック(生音)とエレクトリック(エレキ)に二分されます。大正琴愛好者の中でも、生音派とエレキ派に二分されるくらい、好みが分かれる問題なのです。
アコースティックとエレクトリックの音色の比較
エレキ大正琴の歴史
大正琴は元々アコースティックな楽器でしたが、演奏会で音を増幅するためにピックアップを装着した電気大正琴(エレキ大正琴)が開発されました。さらに、エレキに特化したソリッド型のボディを持つエレキ大正琴も生み出されました。
大正琴のエレキ化を最初に考案したのは初代鈴木琴城です。彼は1957(昭和32)年、ステージ演奏のできる「エレキ大正琴」を考案し、試作改良をくり返しました。また、これとは別に古賀政男も昭和40年代はじめにはエレキ大正琴を試作しています。昭和50年代はじめ、低音域大正琴の発明によって「大正琴アンサンブル」という演奏スタイルが生まれ、ステージ演奏ではエレキ大正琴が主流を占めるようになりました。
エレキ派の考え
鈴木琴城がエレキ大正琴の開発に力を注いだのは、「音が伝わらなければ何もコミュニケートできない」つまり、大きな音でたくさんの人に大正琴を届けたい!という考えでした。
また、琴伝流も、「聴衆に良い音を届けるためにエレキ」という考えのようです。前述したように、現在の大正琴界はエレキ大正琴が主流です。
エレキはエフェクトもかけられる
エレキ大正琴のメリットは、音を大きく増幅できるだけではありません。エフェクトがかけて音色に変化をつけることも可能です。
甘い音色のソリッド型大正琴「こはく」
エレキ大正琴は、普通の大正琴にピックアップのついたエレアコ型と共鳴胴のないソリッド型に分けられます。
ソリッド型の代表的な器種がスズキの「こはく」です。
独特な和響サウンド
野田和響先生のエレキ大正琴の音色は独特です。「和響サウンド」を聴くと、大正琴の音色の幅を感じます。
よしりんせんせいの大正琴でJupiter(ジュピター)
生音派の考え
アコースティック音を、「電気を通さない大正琴本来の音色」と捉える考え方です。津々流大正琴や琴生流菊八重会、早乙女流も生音を大事にしています。
早乙女先生の大正琴で「下町の太陽」
さつきも生音派
ちなみに私は、大正琴を始めた当時はエレキ派でしたが、現在は生音派です。
好みが変わったきっかけは、YouTubeで『大正琴講座』を扱ったことでした。動画編集しているうちに、宇都宮先生の奏でる大正琴の音色が好きになっていき、生音派に。さらに『その日から楽しめる大正琴』では吉岡錦正先生の音色に魅了されました。
生音のデメリット
アコースティック音で演奏を発表しようとすると、ついて回る問題が「雑音」です。
私は生音派ですが、生音演奏が少ないのは、車や飛行機がやってきて、雑音が入るためです。弾いていて良い感じの所で邪魔されると、心が折れます💦
生音に入る打鍵音の考え方
また、演奏時の打鍵音を「雑音」とみなして嫌う人もいます。私は違った視点で捉えなおすことができると考えています。
たとえば、ギターのコードチェンジの瞬間の「チャッ」という音。雑音といえば雑音だけど、演奏の「味」でもあります。同様に、大正琴の生音で聞こえてくる打鍵の音も「味」だと捉えることもできるのではないかと思います。
ギターと大正琴のアコーステック・サウンド
「奏者の音」がダイレクトに出る生音
生音は、「奏者の音」がダイレクトにそのまま反映されたものだと思います。エレキだと、その器種・機材の音になってしまって「奏者の音」というのが分かりにくいと感じます。
私は機会があれば有名な先生のCDを聴いたり、大会(発表会)に行ったりしますが、耳を鍛えて上達するためには、できれば生音が聴きたいと思っています。
他楽器との比較優位性は、生音にあり
大正時代、庶民の楽器として大流行した大正琴は、「ピアノには手が届かない」という人に買われました。しかし、今は気軽にキーボードが買える時代です。キーボードになくて大正琴にあるもの…それがアコースティック音だと思います。そう考えると、もっと大正琴の生音の魅力を生かしてアピールすべきではないかと思います。
生音かエレキかは楽しみ方に合わせて
生音は機材の準備がいらないし、エレキはエフェクトをかけて遊べる。それぞれにメリットがあり、大正琴の楽しみ方に合わせてチョイスすることで、大正琴の可能性が広がるものと考えています。


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